ピアジオテストライダー ニコ氏 インタビュー
ジャンカルロ・ビネティ氏のインタビューを終えて、ニューモデルの試乗に参加した際に同行した、ピアジオテストライダーのニコ氏にインタビューしてみました。
ジャンカルロ・ビネティ氏のインタビュー後、試乗としてピアジオ X8 200・ピアジオ X9 250 エヴォリューション・ジレラ ネクサス500SSで、約100kmのミニツーリングに出かけました。
ニコ氏が一般道をかなりのスピードで先導しながら一気に地中海の海岸まで走り、そこの有名なレストランで昼食を共にとりました。以下はその際のミニインタビューです。
余り表に出る機会のないテストライダーのお仕事とはどんな感じなのか、お話を伺いました。
月の走行距離は約1万km
一日でどのくらいスクーターに乗ってるんですか?
ニコ氏: 350kmくらいかな。
え!連日350km? ずいぶんと少ないですね(笑)
ニコ氏: ハハハ、ホント、ずいぶんと少ないですよね(笑)
ということは、月に約・・・
ニコ氏: 1万kmですね、だいたい。
凄いですね!2輪が好きとは言え。バイクに組み込まれたパーツの耐久試験という感じですね。このお仕事はもうどれくらいになるんですか?
ニコ氏: ちょうど10年です。
テストライダーのチーム編成はどうなっているんですか?
ニコ氏: ピアジオには10人のライダーが居て、3交代制で乗りながら様々なデータを取って行くんです。
交代制ということは、朝の部や夜の部もあるんですか?
ニコ氏: ええ、朝が6時から昼過ぎまで、昼が10時から夕方まで、夜が夕方から深夜まです。
天候の悪い時にも走るんですか?
ニコ氏: もちろん。雪の日は除いて、雨でも風でも関係ありません。むしろ雨の日や風の強い日のデータ収集こそ大事ですから。
今は昼だけ乗ってるんですか?
ニコ氏: 今は、交代制チームからは外れて、偉くなったというか、昼専門です。今日みたいに試乗のお客さんをガイドするとか、広報活動の一種として乗るようになったのです。
発売前のモデルを設計の連中とセッティングして行くのがとても楽しい
まだ市販前のバイクに乗るのってやっぱり、やりがいがあると思いますが。
ニコ氏: 発売前のモデルはまだまだ詰めるべきところがたくさんありますので、それを見つけて設計の連中とセッティングして行くのは楽しいですね。とても。
どのくらいの台数のテスト車を預かるんですか?
ニコ氏: 普通だいだい5台くらい、ネクサス500SSは6台試作されて、3台が設計に、3台が我々に回されました。
3台のネクサスを預かったということは、同じバイクを3人で乗るんですか?それともそれぞれが自分のを受け持って乗るんですか?
ニコ氏: それはいろいろ場合によって違いますね。例えばとにかく回す必要がある時はガンガン乗ります。営業の判断で発売まで日数が無いなどの理由で。
タンデム走行のテストもしたりするんですか?
ニコ氏: もちろんです。リュックを背負ったり、実際に荷物を乗せてみたりして、燃費やバランスをチェックします。
今日試乗したネクサス500SS、X9 250 エヴォリューション、X8 200の特徴を聞かせてください。
ニコ氏: ネクサス500SSはスポーティな操舵性とパワー、X9 250 エヴォリューションはツーリングに適したゆったりした乗り心地、X8 200は質を落とさずにコストパフォーマンスを上げたことですね。
もし一台もらえるのなら、X9 250 Evolution がいいかな
もし、テストライダーへのプレゼントとして一台だけ貰えるとしたら、どれがいいですか?
ニコ氏: それぞれ良いところがあるので迷うけれど・・・X9 250 エヴォリューションです。
やっぱり。このX9は評判のよかった200ccより更に良くなってるらしいですね
ニコ氏: ええ、燃費もパワーも更に向上していますね。
ホンダのエンジンを積んでいた頃も乗っていました?
ニコ氏: はい。
その後、またピアジオ製エンジンの採用となりましたが、違う点などありますか?
ニコ氏: ホンダの場合はエンジンがいい感じで回り出します。仲間内では「エンジンが歌い出す」って呼ばれるレンジがだいたい4500rpmから7000rpmくらいでした。ピアジオ製エンジンですと、そのレンジがもっと下の方にも広がったのを実感しましたね。ですので、ピアジオ製エンジンに戻して正解だったと思いました。
テストライダーのニコさんは月曜から金曜まで毎日350kmは乗りながらも、土曜と日曜は休みですよね?休日はどんな風に過ごしているんですか?
ニコ氏: バイクに乗ってます(笑)
凄いですね(笑)。恐れ入りました。これからもどうぞお気をつけて。
インタビューを終えて
きっと一度はレーサーを夢見たであろうニコさんは、やはり二輪の世界に生きていた。彼のようなテストライダーのシビアな助言が市販前のモデルを、より魅力的に、より安全に変えて行くのでしょう。月に10,000km乗るエネルギーは情熱という言葉だけでは説明できないものがあるのかも知れないと感じました。 |