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KYMCO社長 王雙慶氏インタビュー

KYMCO工場にて

2004年に行われたコネクティングロッド会長 平井によるKYMCO 台湾本社社長 王雙慶氏 (当時)のインタビューです。

ーまず初めに、キムコはどんなきっかけで創立され、会社はスタートしたのでしょう?

王:きっかけというのは台湾メーカーのSYMがホンダのオートバイを生産していて、SYMだけでは手が回らなくなり、キムコに相談を持ちかけ、キムコもホンダのオートバイを生産するようになったというのが発端となります。実はSYMの社長とは、師範学校(日本でいう専門学校)からの同級生でありますから。

ーそれは驚きました! こちらには勝手にライバルとして仲がよくないイメージがあります。では、KYMCOはSYMとは遠く離れた場所に会社を構えているのはなぜでしょうか?

KYMCO 台湾工場 王:キムコはもともと高雄市で創業しています。工場の拡大を行うため、現在の場所に移転をしました。今のキムコの工場は高雄駅から近く、優秀な労働者を集めやすい利点があります。それゆえ、今のところ外国人労働者を採用しておりません。これはキムコの品質向上にも貢献していると思いますよ。

さらにキムコでは学生を研修させるシステムがあり、社員育成にも積極的です。実戦教育に勝るものなしですからね。加えて社員への福利厚生も充実させております。それは退職者を少なくすることも品質・技術向上に貢献すると考えているからです。

ー企業の経営理念として高い意蓋を惑じるお話ですね。では少しやわらかめの質問を(笑)。
「キムコ」という社名の由来を教えてください。

王:92年に会社をより発展させるため、KYMCOブランドを設立して海外進出に乗り出しました。覚えやすくわかりやすい、親しまれるブランドネームとするため、光陽機車(KWANG YAMG MOTOR CO.,LTD)を略したキムコ(KYMCO)という呼び名を採用しました。語呂が日本語のキンコ(金庫)と似ていたので、縁起のよい名称と思い決めたのです。(※KYMCOの台湾での呼び方は「キンコ」に近いものであり、「キムコ」は日本読みである)

デザインを重要視するKYMCO

KYMCO 台湾工場にて ー海外進出を始めてから、きちんと結果を出していますよね。台湾のみならず、世界各国で評価されるキムコのスクーターにはどんな理由が考えられるでしょうか。

王:キムコはイタリアやドイツ、フランス、スペインには特に多く輸出を行なっておりとても好調です。他の台湾メーカーは海外輸出に苦戦をしていると聞いております。それは、デザインカにあると思います。他メーカーはデザインに関する研究開発費をあまりかけていないように感じるのです。

ーキムコの強さはデザインカにあるとお考えでしょうか?

王:ヨーロッパ向けのスクーターでは、イタリアのデザイン会社に委託したり、イタリア人を数年間派遣してもらったりと、会社としても積極的に取り組んでおります。また、社内で台湾人のみで設計したものは生産前にイタリアのデザイナーに意見を求め、変更などを行なった上で生産に入る体制です。でも、キムコはデザインのみが突出したメーカーではありませんよ。

キムコの徹底した品質管理

ーもちろんそうだと思います。では、キムコのスクーターの特色はデザイン以外に何があるのでしょうか?

王:まず、国際競争力を高めるために「国際基準」を社内で定義して、徹底して品質管理を行なってきた経緯があります。 図面から生産過程の基準を設定し、設備投資も行うことで生産能力は大幅に向上したのです。

 最近では国際的な製造工程管理基準であるISO9000シリーの取得も行い、より一層の品質管理を行なっております。品質はデザイン以上に自信のある特色と言ってもよいかもしれません。

HONDAとの関係、そしてKYMCOのモノ造り

KYMCO 台湾工場にてーホンダとの技術提携はキムコにとって非常に大きなものだったわけですね。現在はホンダとの関係はどうなっているのでしよう?

王:ホンダとの業務提携を終了さぜたときに、キムコの社長がホンダの社長と食事をしたそうです。その際にホンダの社長から「おめでとう」ζ言われ、我々は「おめでとう」の真意が判らず、聞いてみると「ホンダ大学の卒業おめでとう。私たちは必要なものはすべて教えた」 という言葉をいただいたそうです。その言葉を聞いてみな大変うれしく思い、あらためてホンダに感謝をしました。我々は今でもホンダとはよい関係にあると思っております。

ー最後にモノ造りでこだわっている点を教えてください。

王:キムコのモノ造りのこだわりは、品質向上、安全(生産過程および安心して利用できる乗り物)、厚生(社員の福利厚生)に由来します。スローガンでは「O不良、0故障、0公害」を掲げています。

また研究開発に重点を置いており、売上に対する研究開発費の割合は6%、製造業の中でも多い方です。こうした常に新しいモノ造りに対する積極性がたくさんのユーザーを獲得してきたと考えております。これからもみなさんに愛されるモノ逢りを心がけていきますので、もっとキムコの製品にふれてみてください。



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