輸入スクーターを楽しもう!
Vol.3 ベネリ アディバ150で都内走行を楽しもう!
屋根つきスクーターという実用的なコンセプトを持ちつつも、輸入スクーターならではの個性的なデザインが魅力のベネリ アディバ150を、通勤/通学や普段の足として購入を考えている方もいるのではないかと思い、様々な気象条件の元に実際に都内をベネリ アディバ150で走行してみました。以下はそのレポートです。
報告者:山中昭夫
検証1 一般道路走行
2003 11/17 天候:晴天(風速7.1m/s ルーフ未装着)
走行してまず感じたのは、やはりスクリーンによる防風性の高さです。普段私は風の影響をうけにくいフルフェイス型のヘルメットを使用しているのですが、正面からの風をほぼシャットアウトするアディバならば、バイザー無しのジェットヘルメットでも快適に走行できるのではないかと思いました。試しにヘルメットのバイザーを全開にしても、目がしょぼしょぼすることはありませんでした。
むしろバイザー無しのジェットヘルメットの方が、夜間などの視認性の面からもアディバにはあっているように思えたほどです。また、アディバのスクリーンは手もカバーしているので、風の強いこの日も指先が寒くなることはありませんでした。寒さが厳しくなるこれからの季節にとても有効なのではないでしょうか。
ポジション
身長180cmの私にはシート周りが若干窮屈な印象がありましたが不快という程でもなく、乗っていれば慣れてしまう程度のものです。元々イタリア人向けに設計されているので、充分な広さの空間が感じられます。
シート高は低く、足つき性は抜群です。更に足の上げ下ろしを容易にするステップフロアー部分の切れ込みは、身長の低い人高い人共に、路面に足をつく機会の多い渋滞時に重宝すると感じました。
走行性
12インチのホイールは小回りが効き、街中の走行も軽快に走れます。曲がるときも自然にスッとフロントホイールが切れ込んでいく感じです。ちょっときつめのカーブ走行も、上体を起こしたりする必要もなく、ごくごく自然に曲がってくれます。ハンドルの切れ角は特に広いわけではありませんがこの小口径ホイールのおかげでUターンなども楽にできました。機動性という面ではバッチリでしょう。
但し小口径ホイールですので路面のギャップに敏感なのではあります。しかしオフロードなどの悪路でもない限り、ハンドルを取られたりすることはないので運転自体には支障はありませんでした。また、アディバのバックミラーは他の車種と比べると広い間隔で装着されていますので、渋滞時などのすりぬけ走行はやや苦手かもしれません。ですがこの幅広いミラーは、車線変更時の際などに後方を目視確認する必要がないと思えるほど、後方の視界をしっかりと確保しています。ですので、安全性を一番に考えると、欠点として挙げるべきではないと思いました。
スクリーン
晴天のこの日はルーフを収納した状態で走ったのですが、それでもアディバの最大の特徴である大型スクリーンの恩恵に充分あずかることができました。防風性の利点は先に触れた通りですがそれに加えて、前にトラックがいるときや、トンネルを走行する際なども排気ガスを直接浴びるがなかったので、排気ガスによる肌荒れなどが気になる女性ライダーにはこの面からもアディバをお勧めできるのではないかと感じました。
検証2 高速道路走行
2003 11/17 天候:晴天(風速7.1m/s ルーフ未装着)
晴天ながら風の強いこの日にあえて、横風を受けやすい構造を持つアディバで首都高速環状線を走ってみました。
日中は渋滞していることが多いとはいえ、一応は高速道路なのでやはり車の流れは速かったのですが、左車線であれば特に問題なくついていくことができました。アクセルを開ければスムースに加速しますし、アディバならではの大型スクリーンで正面からの風の影響をうけることもなく快適に走れました。
この日はルーフを後部ラゲットに収納した状態で走っていたのですが、それでもまるで車を運転しているかのような快適さ&楽ちんさで、首都高を走りながらも「何か音楽をかけたいな」と思ってしまったほどです。大型トラックや長いトンネルのある首都高でも思ったとおり、排気ガスを直接浴びることはありませんでした。
加えて、アディバの大型スクリーンならば、夏の強い日差しも直接浴びることはないので日焼けもある程度防げるのではないかと思いました。当日は首都高速の電光掲示板に「風速9メートル」と表示されるほどの強風でしたが、やはり構造上横風には弱く、湾岸線を走っているときなどはっきりと車体後部が風でブレるのを感じました。とはいえ、タイヤが流されたりするほどのものではなかったので危険を感じることはありませんでした。
検証3 雨天一般道路での走行
2003 11/25 天候:雨 (降水量6mm ルーフ装着)
上記の検証とは日を改めて、朝から土砂降りの続くこの日にアディバ最大の特徴であるルーフの実用性を検証すべく甲州街道と靖国街道を走ってみました。結論から言うとかなりの強い雨であるにも関わらず、思ってたのよりも高い防水性を見せてくれました。ルーフを取り付けた状態ですと正面及び上面からの雨はほぼシャットアウトしてくれます。
さすがに横方向からの雨には弱く、ひじや肩部分が多少濡れましたが、それでも下半身はほとんど濡れることはありませんでした。
アディバであればどんな雨でも大丈夫!とまでは言いませんが、通常の雨ならば、軽い防水性を持つウェアや厚手のウェアを着るだけで充分しのげると感じました。これまたアディバならではのワイパーは雨の日の夜間走行の際に思った以上の視認性の向上に役立ちます。この快適さにいつもネイキッドバイクに乗っている私は、いつもの自分のバイクに戻ったら違和感を感じてしまうのではないかとさえ思ってしまったほどです。
まとめ
ベネリ アディバ150の乗り味
・顔や上半身はもちろん、指先もカバーするスクリーンが寒い季節も防寒性を発揮する。
・正面からの雨はルーフがほぼシャットアウト。通常の雨程度であれば厚手のブルゾンや革ジャンパーでも充分かも。
・雨や風はもちろん、排気ガスや夏の日差しからもライダーを守ってくれる大型スクリーン。日焼けや排気ガスによる肌への影響が気になる女性ライダーにはうってつけ。
・やはりアディバのラージ風防及びルーフの実用性は高く、風雨、日差し、寒さなどの様々な気象条件からライダーを守ってくれる。 |
・ワイパーが強い雨の日でもしっかりと視界を確保してくれる。
・幅広のミラーで後方の視界もしっかり確保。車線変更の際なども余裕を持って運転できる。
・小口径ホイールで機動性に富む。旋回も楽。
・輸入スクーターには珍しくシート高が低く足つき性がいい。
・150ccながら追い越し車線でなければ高速道路でも流れに乗っての巡航が可能。
・構造上、横からの風圧を受けやすい。
・静かな排気音。深夜の住宅街でも気兼ねすることなく走れるほど。
・燃費 高速道路走行時 23.4km/リットル 一般道走行時 21.7km/リットル
感想
雨の日の夜間走行の際に感じたことなのですが走りながら時折、自分は今一体何に乗っているのだろうと不思議な気持ちになってしまうことが何度もありました。ハンドルから伝わる感覚や曲がる時に感じる重力などは紛れもなく二輪車のものでありながら、同時に雨の中でもさほど濡れることもなく、メーターパネルのイルミネーションを横目で眺めたりするときに感じるリラックスした気分は四輪車に近いものがありました。
いい意味で乗ってて不思議な感じになるスクーター、バイクとも車とも違う独特のフィーリングを快適性と共に感じさせてくれる乗り物。それがベネリアディバなんだと思います。元々このレポートはアディバが、通勤/通学や、都内での足としてどの程度の実用性を持っているのかを検証すべく始めたのですが、今では運転しているときに感じた、あのバイクとも車とも違う乗り味の方が印象に残っています。
上記の検証の通り、アディバは高い実用性を持っていますが、本当のアディバの魅力とはバイクでも車でもない第三の乗り物としての乗り味なのかも知れません。その意味でもアディバは大変個性の強い乗り物であると言えるでしょう。
※ベネリ アディバ150の新車販売は終了しています。
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