コラム Vol.13:VESPAを通して「イタリア文化」の楽しみ方
VESPA誕生
今から70年ぐらい前、イタリアのピアッジオ社は敗戦から立ち直るために新たなビジネスを模索していました。その頃のピアッジオ社は飛行機(戦闘機)などを製造する重工業メーカーでしたが、敗戦を契機に軍事目的の製造事業は行うことができなくなりました。
当時の社長は航空設計技師に「新たなオートバイ」の開発を命じ、その時の指示内容は「オートバイのように跨るのではなく、椅子のように安易に座れること」「ギアチェンジの際に革靴に傷がつかないようにすること」「水たまりの上を走っても、泥はねで足元が汚れないこと」などを伝えたそうです。もちろん「デザインセンスに優れていること」は、暗黙の指示だったでしょう。そして1946年春に新しいオートバイ「VESPA98」を発表するに至りました。
この新しいVESPAは、これまでのオートバイには無い革新的な乗り物でした。椅子のように座って運転できるので女性がスカートを履いていても乗ることができ、ギアチェンジはこれまでの左足から左手の部分に移動して革靴に傷が付かなくなり、足元に大きなカウルを付けたので水たまりの上を走ってもズボンが汚れない。もちろん、美しいデザインであったことは言うまでも有りません。
ファッションに敏感なイタリア人に瞬く間に受け入れられ、今となってはイタリアを代表する工業製品へと成功を収め、世界中に広まっています。
イタリアでVESPAの歴史に触れて楽しむ
VESPAを製造しているピアッジオ社は、イタリア/フィレンツエの郊外ポンテデーラ市にあります。その本社工場群の一角に、当時のVESPAを製造していた工場を活用して「ピアッジオ博物館」が有ります。この博物館には試作車から生産第1号のVESPA98をはじめ、過去から現代のVESPAたちが展示されています。またピアッジオ社が手掛けた飛行機や鉄道など、貴重な資料が展示されています。
この博物館でのおススメの楽しみ方は、まずベスパのデザインの変遷を見てください。どの時代もVESPAらしいデザインで、どの車種も一目で“VESPA”だと判るデザインの伝統が感じられます。また個人的には屋外にありますイタリアで初めての地下鉄が展示されて、この鉄道デザインが素晴らしい。また、帰りがけにミュージアムショップに立ち寄ることもお勧めします。多くのお土産もデザインセンスに優れ、ついつい買いすぎてしまうほどです。
ピアッジオ博物館 (Museo Piaggio)
最寄り駅 Pontedera-Casciana T駅(フィレンツェSMN駅からPisa方面へ約45分)駅から徒歩約5分
休館日:日、月、火 開館時間:10時~18時 入場無料
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イタリアでVESPAに乗って楽しむ
今なお愛され続ける普及の名作「ローマの休日」。もちろん舞台は“ローマ”で、オードリーヘップバーンとグレゴリーペックがVESPAに乗ってローマの街を走り抜けるシーンが印象的です。この映画が公開されて以降、ローマに訪れる観光客が大幅に増えたとも言われています。そのローマでVESPAをレンタルしてローマ観光を楽しむ事ができます。
スクーターのレンタルショップはローマ駅の近くにあり、ショップのHPも有りますので新しいローマ観光としてレンタルVESPAを楽しまれては如何でしょうか。VESPAが有れば、ローマ市内の見どころも短時間で移動することができて、また駐車するスペースはすぐに見つけることができますので便利です。 また、フィレンツェには郊外を走るVESPAツーリングツアーも有ります。先導者がいますので、気軽にツーリングが楽しめます。
レンタルスクーターショップ・スクーターツーリングサービス
BICI&BACI (ローマ) http://www.bicibaci.com/ (日本語での案内も有ります)
my TOUR(フィレンツェ) http://en.mytours.it/index.asp
※国際免許が必要です。※日本の通行区分と異なり右側通行です。交通法規も異なります。
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日本でもVESPAを見て楽しめる
先日、ピアッジオ社のVESPAデザイン担当責任者にお会いすることができました。今日のVESPAのデザインコンセプトをお尋ねしたところ「革新」と「伝統」だそうです。他のメーカーは「革新」のみに進みすぎているようですが、VESPAは「伝統」も大切にしています。過去のデザインをリスペクトした新車デザイン、発売当時から変わらないスチールボディ(車と同じような鉄板のボディ)などが「伝統」として現代のVESPAにも受け継がれています。
Scooter Italiano東京練馬 コネクティングロッド 会長 平井健三